動脈硬化の原因のひとつである高血圧。しかしながら、自分の血圧の状態を日頃から把握している人は多くありません。血圧ってどのくらいの周期で測るものなの?いつどこで測るものなの?高い数値が出たらどうすればいいの?そんな血圧測定の疑問を解消します。
血圧は毎日自宅で測るのが理想的
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- 遠山
- 心臓病の大きな原因として高血圧というのがありますが、血圧を調べる場合、何歳ごろから測り始めればいいのでしょうか。
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- 柴山
- 職場で行う健診などで異常が出た場合ですね。また、ご両親が高血圧の方も、ご自宅で定期的に測ることをお勧めします。病院とか診療所で測ると緊張されて、家庭での血圧よりも10~30ぐらい高く出ることがありますから。
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- 向井
- 家庭血圧を知るということは、治療の上で非常に大事で、不可欠なんですよ。血圧計を持っていない方もいらっしゃいますが、私は必ず血圧計を貸し出して測ってもらっています。
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- 遠山
- では自分で血圧を測る際の正しい測り方というのはありますか。
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- 向井
- 高血圧学会で推奨している方法があります。血圧計は上腕で測るタイプを使ってください。測る時間帯は、朝は起床後1時間以内で排尿後、朝食前、服薬前。安静をとって、心臓と同じ高さで椅子座位で測ってください。できれば夜も測ってください。夜は食事、入浴、服薬、排尿を済ませて就寝する前に測る。それから、ときどきで結構ですが、日中も測っていただくように勧めています。
測定は毎朝起床後1時間以内に
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- 遠山
- よく、3回測って一番いい数値だけ伝える人もいるみたいですが、それは正しいのですか。
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- 小野寺
- どうしても患者さんというのは、薬を飲みたくなかったり、なるべくいい値を出したいと思うので、確かに何回も測る人はいます。僕は、どうしても何回も測りたい人には、2回にしなさいと。それでもうあきらめなさいと言ってます。
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- 柴山
- 私が患者さんに指導するときは、1回目で普段と違った血圧が出たら、2回目を測りなさいと。1回目と2回目が10㎜Hg以上下がるようだったら、3回目を測ってみてください。2回目と3回目でほぼ同じ値だったら、それが正しいんじゃないでしょうか、というように言ってます。1回目測って、2回目も高いようであれば、これは本当に高いと思ってくださいということです。
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- 向井
- 血圧を測る時間帯なんですが、一番最初に、早朝起床時に測ってくださいと言うのですが、10時とか11時に測る人がいるんですね。なぜ早朝起床時に測るかというのは、早朝の血圧の上昇が、脳卒中、心筋梗塞の発症の引き金となってしまうからなんですね。高い血圧を知りたいんです。血圧が高い時間帯があって、少し時間がたつと下がってくる。下がったから安心ではなくて、高い時間帯があることが問題なんですね。
血圧の薬で体質が悪くなることはない
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- 遠山
- 測定の結果、血圧が高い場合は薬が必要だと思うのですが、よく「お薬飲んだら先生、一生飲み続けなきゃいけないんじゃないんですか」って聞かれるのですが。これについてはいかがでしょうか。
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- 山田
- 難しい質問なんですけど、高血圧というのはひとつの病気であって、それが起こってしまった以上、やはりお薬を飲んでいただくしかないかなと思います。
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- 小野寺
- 高血圧というのは、もうその人の体質みたいなもので、体質というのは、薬でそれを抑えるしかない。やめたら元に戻るだけなんですね。考え方としては、薬1つ、2つ飲むぐらいで血圧をコントロールできるんだったら、大したものじゃないですか、と思います。
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- 遠山
- 確かにそうですね。でも、一般的に嫌われるのは、コレステロールの薬と高血圧の薬ですよ。
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- 山田
- ただ、どちらの薬も飲んでる間しか効かない。飲まなくなれば、ただ元に戻るということなんですね。飲むのを止めて、リバウンドでより悪くなるのではないんです。
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- 向井
- 皆さん、一度飲み始めるとやめられないと思っていらっしゃるんで、なかなか開始しないんですね。そうじゃなくて、生活習慣を改善すれば、血圧の薬をやめることは可能であるということを十分説明して、患者さんたちにも納得していただくことが一番大事だと思います。
緊急時の素早い行動が命を救う
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- 遠山
- AED(自動体外式除細動器)というのがありますね。あれはどういうときに使えばいいのでしょうか。
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- 柴山
- 倒れている人を見たときに、まず呼吸があるか、口や鼻のところへほほとかを当てて確かめます。そこで呼吸をしてないぞということになったら、直ちに心臓マッサージを行います。そしてAEDが届いたらAEDを付け、AEDの指示に従います。もし必要ない人に間違ってつけてもAEDは作動しません。機械が必要と認めた場合でないと作動しないんです。
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- 山田
- 脳出血とか脳梗塞でも人は倒れるんですよ。ただそういう方は、意識はないけど呼吸は保たれていることが多いんです。そういう場合は作動しません。
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- 柴山
- 助かる一番の対策は、そこに居合わせた人がいかに素早く動くかということですね。心臓が4、5秒止まると意識はなくなっちゃうんですよ。3、4分経つと脳が死んじゃいます。いくらAEDがあったとしても、もたもたしてるともう間に合いませんから。みんなが何かやろうという意識がないとだめなんですね。
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- 遠山
- AEDがなかったらどうすればいいんですか。
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- 小野寺
- ひたすら胸を押しまくる。昔は息を吹き込んでということを言われてましたけど、今はひたすら押しなさいということになってます。感染の問題もありますから、人工呼吸はせずに今は押すだけでいいと。
80歳でも心臓病は予防できる
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- 遠山
- これから、将来的にがん死というのは多分減ってくると思うんですよ。そうすると、やっぱり最終的には心臓というのが大事になってきますね。統計では80代が危ないと言われますが。
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- 山田
- 80歳でも元気な方いますよね。本当に足腰もピンピンされてるし。そういった方を治療して、元気に退院されるのを見ていると、まだまだ積極的に治療していこうと思います。80代だから、年齢が高いから、これはちょっと治療の適用外というのも、最近はあまりないですね。
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- 遠山
- 80歳だからって、あきらめることはないと。心臓病の可能性があっても、それを防ぐ手段はまだあるんだということですね。
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