偏った食事や運動不足、喫煙、飲酒など、生活習慣の乱れが心臓病を招くと言われています。では、具体的にどういった食事をとればいいのか。また、どんな運動をどれだけすればいいのか。入浴方法なども含め、今日からでもできる心臓病の予防策を探っていきましょう。
心臓病の予防はまず食事から
-
- 遠山
- 心臓病、動脈硬化の予防という点で大事なことは何ですか。
-
- 小野寺
- キーワードは、高血圧、コレステロール、糖尿病、肥満、そしてタバコ。この5点の問題を早く見つけていくことが大切だと思います。
-
- 遠山
- 具体的な対策としては、食事に気を配るということになるのですかね。
-
- 柴山
- 食事で言いますと、アジとかサバ、イワシ、サンマ、そういった青魚にはDHA(ドコサヘキサエン酸)、またはEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。これらは血小板が集まるのを防ぎ、血液をサラサラにする働きがありまして、心筋梗塞の予防に効果があると思います。マグロとかサケにも多く含まれていますね。
-
- 遠山
- やっぱり魚はいいんですね。
-
- 小野寺
- フィンランドで魚ばかり食べてるイヌイットは、他のフィンランド人よりも心筋梗塞が少ないというデータがありますね。
-
- 山田
- アジとかサバとかああいうものは老化にもいいと最近言われていますし、血管を強くするという報告も出てます。
-
- 柴山
- 動脈硬化は悪玉コレステロールが酸化することで進行します。そこで、酸化を抑える抗酸化食品というのが最近注目されています。緑黄色野菜などに含まれてるビタミンCとか、E、ベータカロチン、あとは赤ワインの中に含まれているポリフェノールなどにも抗酸化作用というのがあります。さらに野菜の食物繊維もコレステロールを下げるのに効果があります。
嗜好品で言いますと、タバコは悪影響しかないのですが、コーヒーとかお茶、ココア、そういうものには、悪影響はあまりなくて、いくらかいい影響があるといわれています。タバコは受動喫煙による周囲への害ということもありますから、私のところでは禁煙を指導しています。
塩分は6グラム以下、お風呂は42度以下
-
- 遠山
- 塩分のとりすぎが悪いという話もありましたが。
-
- 柴山
- 塩分は、血圧を上げますので、最近は1日6グラム以下がいいと言われてます。
-
- 遠山
- 6グラムって簡単に超えちゃいますよね。
-
- 向井
- そもそも塩分制限で血圧が下がるということは日本で始まったことで、それがだんだん世界に広がっていったんです。ところが今では外国の方が熱心で、どんどん塩分が減ってきています。国民の塩分摂取量を日本が9グラム未満という基準を発表した時に、英国では3グラムという目標を掲げたんですね。レベルが全く違います。日本は減塩後進国になってしまいました。
-
- 遠山
- 私が前に読んだ本では、人が普通に生きていける1日の塩分量は、1・5グラムと書いてありましたよ。
そのほか、食事以外では何か予防法というものはありますか。
-
- 山田
- 入浴方法の危険な因子ということで少し。調べてみると、お風呂に入ることによって、体の水分が3%ぐらい取られるようなんですね。それがやっぱり血栓という血の塊をつくる原因になるようです。また、お風呂の温度も大切で、42度を境にして、それより高くなると、これもまた血栓を起こしやすいのです。
あともう1つ。お風呂に入ると、気持ちよくてリラックスすると思いますが、実はあれ、あまりいいことではないんですよね。というのは、お風呂に入ると、足の血管が広がるんですよ。そうすると、血流が足に行くものですから、頭の方は一時的に貧血、脳虚血みたいな状況になるので、それで、フーッと気持ちよくなるんですよね。ですから、お風呂で気をつけないといけないのは、40度ぐらいの適温で、半身浴にするということです。
生活習慣病には有酸素運動が有効
-
- 遠山
- 予防ということで言えば、運動もいいと言われていますね。これはガンでも運動している方がなりにくいのです。特に内臓関係のガンの場合は、ウォーキングなど運動経験のある人の方が数十%、発症率が低いんですよ。心臓病でもそういうことが言えるのでしょうか。
-
- 向井
- 中等度の運動を週3~4回、1日30分以上行うと、虚血性心疾患の予防になるということが証明されています。本当はまとめて30分以上できればいいのですが、もしできなければ、10分ぐらいの運動を何回か繰り返して、合計で30分以上ということでも構わないと最近ではいわれています。ここでいう運動とは、有酸素運動のことです。これは、十分に酸素を取り込みながら行う運動で、ちょっと早足のウォーキングであるとか、軽いジョギング、ゆっくりした水泳、水中歩行、サイクリング、軽いエアロビクスといった運動です。運動は強すぎないことが大切で、一番良いのはウオーキングです。隣にいる方と会話できる程度で、心拍数は、100~120ぐらいを目指して運動すれば、生活習慣病が原因となっているような疾患は予防できるということなんですね。
一方で、息を止めて力を振り絞るとか、懸垂、腕立て伏せ、重量挙げといった運動は、無酸素運動と言われまして、一時的に血圧を上げてしまいますので、よくないということなんです。
困ったときは主治医にまず相談
-
- 向井
- 運動の際に大事なことですが。運動をやっていい人と、悪い人がいらっしゃいますので、運動をやられるときには、必ず主治医に相談されて、必要であれば、メディカルチェックを受けていただくことが必要です。
-
- 遠山
- 運動をやってはいけない方っていうのは、どんな人ですか。
-
- 向井
- 重症高血圧の方、心臓病や血管病のある方、心不全、脳卒中、狭心症、心筋梗塞のある方は、運動は要注意だということですね。あとは、運動の前には十分ウォーミングアップを行うこと。体調がすぐれないときには運動しない。運動中に症状の変化があった場合、何か体調の異常があった場合にはすぐやめるようにしてください。
-
- 山田
- 主治医に相談するということで付け加えさせていただくと、患者さんの中には、大病院志向というものがあるようです。でも、医者のレベルは大病院も開業医も一緒なんですよ。むしろ開業医の先生のほうが高いということがあります。ですから、かかりつけ医を持つということで、まずは開業医の先生のところの門をたたくことをお勧めします。
-
- 遠山
- それは、おっしゃるとおりでね、静岡のいい点はそこですから。静岡は全国的に見ても、そういう環境が整っている所だと思いますよ。
企画・協賛/SBS静岡健康増進センター 静岡市駿河区登呂3-1-1 静岡 新聞放送会館15階 電話 054-282-1109
Copyrightc2013 The Shizuoka Shimbun and Shizuoka Broadcasting System., All rights reserved.